甘い誘惑 -第4回短編小説のつどい-

「お邪魔しまーす…」一歩中に入った途端、そこはまるで別世界だった。 その家の中は、一度だけひやかしで入ったことのあるモデルルームのような匂いがしたし、綺麗に掃除された玄関の先には、真っ白な壁にかこまれた廊下が続いていた。煙草のヤニで茶色く染まった壁ばかり毎日見ている璃子にとってはそれだけで驚きだった…