クリスマスはチョコレートケーキで。 ー【第3回】短編小説の集い ー

真っ黒な12月の空から冷たい雨がしとしとと降り出した。恭介はポケットに手をつっこみ、顔をコートの襟に埋めながら、「うーさみい。」と白い息を吐いて呻いた。頭の中には先ほど訪れた飲み屋で流れていたクリスマスソングがぐるぐると回っている。男性客ばかりが集まるあんなくたびれた場所でクリスマスソングを流す意味…